価格 :\ 1,980 (税込)
発売会社 :WHDジャパン
評価 :★★★★★ ( 6 のレビューがあります)
ジャンル :DVD
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ASIN :B0014677YQ
谷にある村に高い塀の居場所を築いた死神。この死神に婚約者を連れて行かれた女性が彼を捜し求めて死神と対峙するというストーリー。前半の死神の築いた塀の前に訪れる死者の群れや、ローソクの間で死神と向き合う主人公の女性シーンは幻想的で美しい。「メトロポリス」でアバンギャルドな映像を打ち出したフリッツ・ラング監督がこの作品では幻想的な映像に誘ってくれる。
死神と主人公の女性の思いに絡めて展開する愛と死という永遠のテーマを表す3つの冒険(オムニバス的な作風)は古典的な悲劇(ある種シェークスピア的なあるいはギリシャ神話的な)ではあるものの、そこに現れる人々の前向きな生き様は主人公の婚約者に対する思いを完全に表現する。
そして、死神の与えた最後の試練は永遠のテーマであり、どの映画作家も追及するテーマでもあるが、これだけ直接的に観る者に突き付ける作品はない。
この作品のもう一つの面白さは、サイレント時代の貴重な作品であるだけではなく、20世紀初頭のヨーロッパのアジアに対する見方が実感できるところ。3つの冒険はアラブ、イタリア、中国で展開されるが、特に中国の描き方(中国人をドイツ人が演じているところも面白いが)は中東とアジアの混在する世界になっているところは当時のヨーロッパから見た不可思議な東の世界がはっきり現れていて面白い。フリッツ・ラングもサイレント時代の作品としては「メトロポリス」とならぶ衝撃的な作品であることは間違いない。
ところで、このDVDで観る限り映し出される映像が正方形であるところが不思議だ。フィルム映像を観たことがないのでわからないが、何故この形なのだろうか?
Tod (死神)は、中世ヨーロッパにおいては、実生活と密着した考えだった。戦争や病気で死は常に身近にあり、一般市民にとっては抑圧以外の何ものでもないカトリックも重しとなっていた。この映画が作られた当時(90年近く前)では、そのような背景が未だ残っていたことだろう。このように、ゴシックの「死生観」に立った哲学的な筋書きがすばらしい。他方、映像は「メトロポリス」のフリッツ・ランゲが完成させたドイツ浪漫派で、プンクトリッヒな画面構成と相合わさって、完璧なものとなっている。時代背景には奥行きがあり、ベネチア、バクダッド、中国へと広がりを見せる。今日でも色あせない名画だ。
★★★★★ 『グリム童話』にあり、我が国の落語「死神」(これはシルクロード・中国さらには韓国を
経由して届いた説話)にもある設定を根幹として、異国への「憧憬」をラングが心ゆくまで
楽しみながら創作しています。
ただし「俊徳丸とハインリツヒ」(いわゆる比較演劇あるいは文学・文化論における「血の
伝承」)を肯定するわけではありません。むしろ、その逆説になる映画だと存じます。
『聖書』の一節が「キーワード」となることも、ノヴァーリス著『基督教社会あるいは欧羅
巴』の言辞を彷彿とさせます。E・T・A・ホフマンの著作の叙情的怪異譚もだぶってきます。
映像も、現代のSFXと比べても見劣りがしません。いうなれば、古いがゆえに新鮮な感覚。
また、最初に登場する役者たちも扮装を変えつつ、登場するという演出も巧妙です。
「メトロポリス」も確かにすごい作品ですが、私は、こちらのほうが、さらに素晴らしいと
感じました。それが、この値段、手に入れてじっくり観なければ「損」だと存じます。
すばらしい作品だと思いました。死んでしまった恋人をこの世に取り戻すためにヒロインが、死神と賭けをするお話です。ろうそくの炎が、寿命にたとえられ、無数のろうそくの中で、死神とヒロインが佇んでいるシーンが印象的でした。三つのエピソードが、挿入されています。バクダッドでは、回教の信仰に、ベネチアでは、恋敵の横恋慕に、中国では、権力者に妨げられる恋人たちを同じ男優と女優が演じています。魔術によって仏像とトラに姿を変えた恋人たちが、弓矢で射られる中国のお話は、神秘的です。仏像の目から、涙が一筋流れるくだりは、悲しく美しい場面でした。舞台となっている国の私たちが持っているイメージそのままを的確に表していると思いました。
★★★★★今から八十年以上前の作品(もちろん、サイレント!)ながら、見始めたら一気に最後まで惹き付けられる名作! 素晴らしいセット、美しい映像も見事であるが(修復が良いのか、プリントが良いのか、かなり見やすいのが嬉しい!)、ラングの演出が圧倒的! 始まりからすぐに、ルイス・ブニュエルが一目見て「死神」だと解った、と語っている「死神」が、不気味な雰囲気を漂わせる。そして人間の運命を象徴する蝋燭。暗がりに浮かぶ不吉なシルエット、刻一刻迫ってくる時間を畳み掛けるように示す時計のショット。全編を覆う神話的な、中世の教訓劇を思わせる独特のイメージ! そしてスピード感のある展開。途中、バクダット、ベネチア、中国と舞台が変わり、エキゾチックな娯楽性も盛り込み、ラングの持っている資質を集大成した感すらあるもの。後の、ベルイマンの名作「第七の封印」と較べてみても、本作の印象の強烈さは全く遜色ない。文字通りラングの最高傑作と言っても誇張とは言えないほどの、必見の傑作。