価格 :\ 777 (税込)
著者 :塩谷 陽子
発売日 :1998-09
発売会社 :丸善
評価 :★★★★☆ ( 3 のレビューがあります)
ジャンル :単行本(ソフトカバー)
可能時期 :通常3〜4日以内に発送
ASIN :4621052772
だからニューヨークは芸術にあふれているのか!と納得した。
「芸術家として生きる権利」が、ニューヨークに流れ込んできた難民のなかにいた芸術家を援助するために生まれた権利であると知り膝を打った。芸術家として生きるためには自分を売り出さなければならない。You have to market yourself ! 芸術家が芸術を作る作業の核心の領域には誰も口出しはできない。しかし、芸術家が芸術家として生きるために必要な技術的な援助はできる。格安で住宅を提供したり、助成金を与えたり、発表の場を提供したり、売り込み方を教えたり。
街には芸術家が集まる。芸術家と出会う機会も増える。芸術に関心を持つ人も増える。起きて当然の変化が積み重なってニューヨークという街が出来上がっている。偶然ではない。となると、この国はいったい何をしているのだろう。「単一民族だから優秀だ」などと勘違いしている連中に投票している限り、芸術家の海外への流出は続く。いられねえよこんなところ。
著者はニューヨーク在住で、アメリカで行われている芸術支援のさまざまな方法を調査し、日本の企業や団体に紹介する仕事をしている。
本書はニューヨークを例に取り、芸術支援についてわかりやすくまとめたもの。まず第一に、芸術家の定義が「長年に渡り芸術政策に打ち込んできたもの」とされる。もちろん芸術だけでは食っていけない者は多い。しかし、副業によって生計を立てている場合でも、アメリカでは芸術家として認められるのだ。つまり芸術家であるということがひとつの職業として受け入れられ、なおかつ、彼らの経済的苦境が理解されていることになる。
そのため、アメリカには多くの芸術家支援機関が存在する。本書はそれらを紹介し、また、芸術家がどのようにして資金援助を受けたり、活動の補助をしてもらったりしているか、描き出している。美術、音楽、舞台と各分野が漏らさず取り上げられている。
飾らない良い文章で書かれているが、言葉を削りすぎて意味が通らなくなっている部分が目に付いた。専門用語に説明がないのも不親切。
ニューヨークで生きる芸術家について、その支援システムについて。
作家は、自らの創作活動に打ち込むだけでは不十分で、自分の作品を
プレゼンテーションする能力も求められることを知った。そして、
それを手助けするボランティアがいることも。様々な具体例が本書の
中で紹介されている。