価格 :\ 1,890 (税込)
著者 :ウォルター・シャイブ
発売日 :2008-05-16
発売会社 :ベストセラーズ
評価 :★★★★☆ ( 4 のレビューがあります)
ジャンル :単行本(ソフトカバー)
可能時期 :通常24時間以内に発送
ASIN :4584130752
政治話などの無粋な脇道は一切無く、ただ純粋に「著者から見たホワイトハウス」というスッキリした内容になっていて、誰でも素直に楽しめると思います。
しかし最後にある手嶋龍一氏の解説が政治臭を強く臭わせる終わり方をしている事に、内容を台無しにされた気がしました。政治話が無いからこそ良いのに、なんでこの人はこんな著者の想いを無にするような無粋な解説文を載せたのか理解に苦しみます。
内容だけなら★5つでも良いのですが、最後の解説文がそれを台無しにしているので★マイナス2をつけ、★3つの評価とさせていただきます。
純粋なオススメ度は★5つです。
クリントン政権からブッシュ政権にかけてホワイトハウスの料理長を長年務めた人物が、仕事の舞台裏を綴った読み物です。
著者自身が序文で「二人の大統領とその家族に関する政治的、個人的な問題に関する感想は書かないでおこう」と書くように、ファーストファミリーに関するスキャンダルめいた記述は一切ありません。著者がどういう経緯で大統領の料理人となり、どういう顛末で職を辞さざるをえなくなったのかについて11年に渡る経験が平易な文章で綴られています。
民主・共和両党の大統領に仕えただけに、著者の料理人としての対応は比較的柔軟です。
ヒラリー・クリントンはアメリカの料理とワイン、エンターテインメントの最高のものを求めていたが、ローラ・ブッシュはなじみ深くて美味しいものがポリシーであり、何なのかわからなくなるほど細かく刻んだ食材や建物のように食材を何重にも重ねた盛り付けの料理は好きではない、と両者の食の好みはリベラルと保守を体現したかのように異なります。それでも著者は、それぞれの志向に合わせて精一杯 料理の腕をふるいます。
今上天皇の訪米時のステート・ディナーにどういう工夫を凝らしたのかという種明かしの部分は興味深いものでした。
欲をいえば、著者の作品ともいえる料理の写真が全くといってよいほど掲載されていないのは、食い足りない感じがして残念に思いました。
人名のカタカナ表記にいくつか誤りがありました。
女優ミア・ファロウズとありますが(172頁)、正しくはミア・ファロー。
メキシコ大統領の名前はヴィセンテ・フォックスではなく(239頁)、ビセンテ・フォックス。スペイン語ではvは英語のように下唇を噛んで発音しませんので、「ヴィ」と記すのは間違いだといえるでしょう。
知られざるホワイトハウスの「台所事情」満載で、一気に楽しく読むことができました。
日本の天皇を国賓に迎えたステートディナーのメニュー、キッチンにつまみ食いに来る人々、大学進学のためホワイトハウスを出る大統領の娘のためのお料理教室、2つの大統領一家の好みの違い、などなど。
登場したお料理のレシピもついていて、ちょっと腕をふるってみたくなります。
特に、著者とヒラリー・クリントン大統領夫人がタッグを組み、公式ディナーにおける従来のフレンチ至上主義に一石を投じて、「世界をもてなすアメリカン・コンテンポラリー料理」を創りあげていく様は感動的でした。
ヒラリーはファーストレディーとして、ホスピタリティーを効果的に外交の場へ織り込んでいき、著者がその実現を支えたのですね。
食べることが好きという方はもちろん、料理のプロの方々はまた違った視点で楽しめるのではないかと思います。
クリントン大統領ファミリーに関してはどこの家でも見られるような風景(奥さんにカロリー・コントロールされる夫)があったり、ホワイトハウスでのパーティ等では数百人、千人以上の料理を作るときのプロとしてのチャレンジ精神やハプニング・その対処などがとてもいきいきと書かれています。
「食」 を通して見えてくるものがあって、基本的に料理とか食べることが好きな人だったら楽しめる本なのではないかと思います。
著者のウォルターさん自身ユーモアを忘れない人ということもあってかクスクスと笑えるところもあり、なるほどこの人にしか書けないという内容ばかりだし、充分に内容が詰まっていると思います。
あえてこの本の落とし穴を考えてみると。
話の中心は 「クリントン大統領夫人(ヒラリーさん)」 というのが 「ヒラリーさんが大統領候補になるタイミングを狙っていたのかな?」 というところです(苦笑)。 確かにヒラリーさんが大統領になったらこの本には追い風だったろうなぁ。 まぁそんなことは関係なく おすすめ。