価格 :\ 620 (税込)
著者 :ジェイムズ ジョイス
発売日 :1994-03
発売会社 :新潮社
評価 :★★★☆☆ ( 6 のレビューがあります)
ジャンル :文庫
可能時期 :通常24時間以内に発送
ASIN :4102092021
20世紀最高の文学というけれど、
ジョイスと同時代には、
深層心理学者ユングの元型理論(神話)理解者の詩人(文学者)ヘルマン・ヘッセがいたはずだ。
西洋に偏らず東洋思想にも精通していたヘッセの作品からは、
普遍的神話性が日本人の私にも伝わってきて、
ヘッセの作品はナイーヴな青春時代に無意識に読んだものだが、
(実際、きれいな文体のヘッセが好きな日本人は多い。)
ジョイスはアイルランドや欧米の文化に閉塞した作家という感じで、読んでいて息苦しい。
日本人中国人、
とにかくこっち(東洋)の生活ゾーンに属する人間にはわからない。
翻訳者もわからないまま翻訳しているはずなので、
せっかくのジョイスの才能のなんたるかなんて伝わってこない。
(神話学者キャンベルもジョイスの才能を賛美しているけれど、残念ながら。)
例えば、
イギリスに暮らしている日本通のイギリス人が、
ダウンタウン松本人志のすべらない話を聞いて反応よく笑えますか?
文体をぐちゃぐちゃに感じるだけです。
その言語的センスや才能を
こっち(東洋)に生まれた人間がおもしろく感じるのは無理。
神話的教養でパロディ構成がわかったとしても、
言語センスがピンとこないので、読み進むのが難儀。
生活リアリズムに徹しているところが20世紀には新しかったのかもしれないが、
21世紀の私たちは普通にリアリズムに徹しているので、今さら読む必要性も感じない。
買わなければよかった。
ジェット・リーのカンフー映画『大地無限』を見てストレス解消しました。
東洋人のスピリッツはいい!
名作、ということになっていますが、わたくしにはどうもピンと来ませんでした。わが愛読する伊藤整も、この作からの影響で「若い詩人の肖像」をものしているというのに・・・(ただし、この作も同様にあまり感心しない)
いわゆるビルドゥングス・ロマンに分類される、半自伝小説ということになっています。ピンとこないひとつの理由は、宗教との関わりということもあるかもしれません。また当時のアイルランドの、イギリスとの複雑な関係もひとつの理由になっているのかもしれません。 こう書くのは矛盾しているかもしれませんが、わたくしの評価にはこだわらずに本作を読んでいただければ、と思います。訳については原文と対照もしていないので評価不能ですが、日本語としては決してわるくないように思いました。
『ユリシーズ』で知られ、今年ユリシーズの日100周年だったジョイ
スの小説。半自伝的、とされ、『ユリシーズ』の2,3年前を描いてい
る。
アイルランドの中産階級に生まれた(後に没落)スティーブン・ディー
ダラス青年が、幼児〜大学まで成長していく姿を描く。最初は童話っぽ
い幼い文体で始まり、スティーブンの成長に合わせて文体も複雑になっ
ていく。文体が主人公を表しているのである。
寄宿制学校で受けた侮辱、先生への不信感、などなど、成長期の経験や
気持ちをうまく捉えている。ジョイスは子供の頃のことも忘れていない
人だったのでしょう。学校によって形成される鬱屈した人間性を見事に
描写している。
ラテン語も多く登場し、一寸インテリっぽいし、カトリックやアイルラ
ンドの問題も多いが、それでも共感できる部分は多いと思う。
大学生になって美学論をぶるスティーブンの頭の良さには感心させられ
ると同時に、読者も「美とは何か」と考えさせられる。キリスト教につ
いて延々と語られる場面では、逆に、部外者として客観的に教義を考え
ることができ、信仰の深さ、不思議さを感じる。
ところどころ難しいが比較的読みやすいジョイス作品だ。
ジョイスの半自伝的小説とか、神話的手法とかいうことで語られる作品だけど、そんなこと文学者に任せておけばいい。肝心なのは、青春小説として面白い、ということ。今世紀はじめのダブリンに生まれたインテリのカトリック教徒の気持ちなんか、ぼくには想像できないところも多かったし、長々と繰り広げられる神学論とか、美学論とかはっきり言って退屈だけど、淡い恋心とか、性の悩みとか、友情とか、夢とか、青春時代に誰もが悩んだ普遍的な問題に主人公が格闘しているとき、ぼくたちも主人公と一緒に悩み、語り、泣き、そして笑うことが出来る。それはすばらしい小説である証拠なのだ。
★★☆☆☆ ジョイスのユリシーズを二十世紀文学の最高峰とする人は少なからずいますが、それはインテリ階級に属する人だけです。ジョイスの本は、多くの人にとって面白くないと思います。
特につまらない点は、ダイナミズムがないことだと思います。